2023年は個人資産でどこまで増やすのか?株式投資家の注目を集める井村俊哉(いむらとしや)さんですが、
2022年12月には55億円を超える資産となったという情報も目にしました。
2023年はファンド創設に向け本格的に動いていくようで、個人投資家としての動きは少なくなるかと思いますが、
Zeppyの動画や書籍、インタビューなどの情報をもとに井村俊哉さんの投資手法、銘柄発掘法(アルファの見つけ方)に迫ってみたいと思います。
井村俊哉の株式投資スタイルとは?
まず、
株式投資における『投資スタイル』とは何なのか?という点について考えたいと思います。
雑ではありますが2つに分類すると
『ファンダメンタルズ分析』を元に銘柄選定、投資タイミング選定をし投資するスタイルと
『テクニカル分析』と言ってテクニカルチャートを元に銘柄選定、投資タイミング選定をする投資スタイルに分かれます。
その中で、
井村俊哉さんは完全にファンダメンタルズ分析によって投資銘柄や投資タイミングを決定されるわけですが、
井村さんの言葉で、投資スタイルを定義するとすると、、、
【本源的な価値の半額に見える銘柄を探し出し、その会社を徹底的に調べあげる。調査の結果、これは2〜3年で倍になる!と思えた銘柄にのみ投資をする】
つまり、
『本当は100円以上の価値がある魚が50円以下で売られていないか探し、
その魚が2~3年以内に市場から100円以上の価値がある!と認識してもらえるか?』を徹底的に調べ、
2倍以上になると思えた銘柄に投資するというスタイルですね。
これって、
この言葉だけを見聞きすると最もですし、
簡単にできそうなのですが、値付けされているその価格が適正なのか?安売りされているのか?
そして、
仮に安売りされていたとしても、
市場がその価値(本来の意味で持っている価値)にいつ気付くのか?という点が非常に重要となるわけです。
投資スタイルということでもう1点付け加えておくと
デイトレやスキャルピングのような短期トレードではなく、
中長期トレードであると言えます。
井村俊哉の投資手法を分析 アルファ(α)とは?
井村俊哉さんの投資手法は、
上段の投資スタイルでも触れたとおり
市場がまだ気づいていない本源的な価値を見極め、
その価値がある銘柄に集中投資するわけですが、
井村さんは、
この『市場でついている価値』と『本源的な価値』の間にある超過収益をアルファ(α)と表現しています。
『井村俊哉 アルファ』などとよく検索されているのはそのためですね。
ちなみに、
井村さんが言うα(超過収益)を得るための方程式は以下とのこと。
【割安】×【成長】×【モメンタム】
井村さんが言う【割安】とは、
『実際の企業価値よりも株価が安く放置されている状態』
【成長】とは、
『継続性のある売上や利益の伸び』
【モメンタム】とは、
『相場の勢い』
これらのどれか1つがあれば良いというものではなく、すべてが揃うことが重要とのこと。
考えてみれば当たり前のようにも思いますが、言語化するのは難しいですよね。
この3つの指標をもう少し深堀すると、、、
割安度に関して、銘柄分析でよく持ち出される指標はPER(株価収益率=株価÷1株当たりの純利益)ですが、
単純にPER5倍=割安!などという捉え方は出来ず、成長性あっての割安判断になるようです。
また、
成長という意味での継続性に関しては、
なんとなく「継続性がありそうだなぁ~」ではなく、
ビジネスモデルの優位性や、模倣困難度合いなども含め、定量面、定性面どちらも適正に評価していく必要があるとのこと。
モメンタムに関してですが、
「そのうち投資家から注目されるだろう~」とか「業績が良くなればいつか、、、」などという言語化できていないモメンタム予測ではなく
投資家がどのような動機に対し注目を集め買い始めるのか?キッカケは何なのか?常に考え、説明のつくモメンタムにこそ意味があると言います。
アルファを探るために必要な勉強法&決算書の読み方とは?
井村さんの投資スタイルは、
このアルファ(α)をいかに見つけるか?がすべてなわけですが、
どのような株式投資勉強法をすれば良いのでしょうか?またどのように決算書を読み込めば良いのでしょうか?
ヒントを探っていきたいと思います。(井村さんは中小企業診断士の資格をお持ちですが、必ずしも必要ではないと思います)
真面目な日本人は、
『勉強』というワードを目にすると
順序立てた過剰なインプットをイメージする人が多いようですが
井村俊哉さんのアルファを見つけ出すためには、受験勉強のようなお勉強というよりも
実務的な勉強をする必要があるように思います。
つまり、
何か株式投資における「言葉の意味を覚えよう!」的なお勉強ではなく、
上場している約3900社の企業の開示情報を読み込むことに意味があるように思います。
では、
井村俊哉さんが実際にある銘柄に投資するに当たり
銘柄発掘を行う時のプロセス/ルーティンを見ていきましょう。
- 銘柄発掘
- 業績確認
- 事業概要把握
- 銘柄メモ作成
- 銘柄リスト更新
- 開示資料の読み込み
- アナリストレポートの閲覧
- 将来性の検討
- 競合比較
- IRヒアリング
- バリュエーションの検討
- 銘柄分析シートの作成
- 各種情報収集
- 現場を徹底リサーチ
- カタリストと需給の把握
- 投資
実際に銘柄発掘から『投資』するまで、
このようなステップを経てお金を投じていくようです。
各ステップの深堀はこの後詳しく見ていきます!
とは言え、
このレベルまで日々株式投資に向き合える人は少ないはず!ということで
井村俊哉さんが考えるサラリーマンや日々忙しい主婦でもできる投資法があるようです。
それが、
新しくゼロから知識を取り入れるのではなく、
すでに自身の中にある知識や業界、経験を活用してアルファを取りに行こうとする戦略です。
1.自分の働いている業界からアルファを探す
BtoBは分かりにくい側面もあるかもしれませんが、メーカーや卸、小売店で働いているようなBtoCの方であれば、
肌感覚としてどのようなモノが売れ始めているのか?という変化に早く気付くことができますよね。
また、BtoBのビジネスであっても一般消費者には伝わらない変化をいち早く察知できる可能性もありますので、
意外なところでアルファに出会う可能性があるわけです。
2.自身の趣味からアルファを探す
一例として、コロナ禍でのキャンプブームにいち早く乗っかっていた人は、ワークマンやスノーピークの上昇を前もって感じ取っていた人はいたはずです。同様に、密を回避できるような屋外でのアクティビティやレジャーが注目される未来を予測することは出来たはず。意外なところに転がっていますね。
コロナ以前からキャンプが好きな人であれば、急にお店が混みだした!とか、品切り、キャンプ場の予約状況などアンテナがキャッチしていた可能性はありますね!
3.今は知識が無くても興味を持てる分野からアルファを探す
仮に今ゼロベースの知識であったとしても、興味がある分野であれば新しい情報を取りに行くのが苦痛ではないはず。
ということで、
意外な視点から銘柄選定ができるわけですが、
井村氏は、この3つの方法で仮に良いな!と思う銘柄を見つけたとしても
それをいきなり購入してしまうような投資手法は危険である!と警鐘を鳴らしています。
つまり、
井村さんが言う方程式である【割安×成長×モメンタム】に関してもしっかりチェックする必要がある。ということです。
- 割安:どの程度割安で?
- 成長;この先どのくらいの成長力があって?
- モメンタム:この先どの程度注目を集める機会があるか?
何も見えずに、えいやぁ!!で投資をするのは危険です。
たまたた投資した銘柄が上昇してラッキーな利益を得たとしても
そこに再現性が無ければ、利益を積み上げることは難しいと言います。
それはそうですよね!
たまたま生まれた利益は、正しい努力を阻害する害悪になる可能性すらある。とも言われています。
井村式銘柄選定の手順とは?
それでは、
先ほど紹介した井村俊哉指揮の銘柄選定の16ステップをさらに分解していきたいと思います。
1つずつ見ていきましょう。
1.銘柄発掘
銘柄発掘とは具体的に何をするのでしょうか?
井村さんによると、、、
- 開示情報
- 大量保有報告書
- レーティング
- 投資情報メディア
- ブログ
- SNS(Twitter)
- 投資家との意見交換
- 業界専門誌
- 海外メディア
- アナリストレポート
これらを日々チェックすることで新たな銘柄発掘を行っているようです。
2.業績確認
続いての業績確認は、1つ目の銘柄発掘で新たに発掘した投資銘柄をリスト化し、過去の業績が成長しているか?もしくは未来の成績が成長を示す可能性があるか?確認していくようです。
使うツールとしては、
- iMarket(適時開示ネット)
- マネックス証券の銘柄スカウター
- バフェットコード
などらしいです。
具体的には、
セグメントごと、四半期ごとに、成長率や利益率、粗利など定量情報をザーッとみていくようです。
3.事業概要把握
続いては、
選定した企業の事業内容を押さえていく作業に入ります。
具体的には、会社四季報や銘柄スカウター、企業のホームページ等にある説明資料などをチェックし、
該当銘柄における、事業の成長性や成長の継続性をチェックしていくようです。
4.銘柄メモ作成
ここまでの作業が終わり、成長面で問題なしと判断したものを『銘柄メモ』としてEvernoteなどで銘柄ごとにメモノート化していく作業に入ります。
5.銘柄リスト更新
ここまででリストアップした銘柄を監視レベルやセクター毎に切り分けてフォルダ分けします。
また、将来性があると判断した銘柄やバリュエーション的に旨味があったり、決算に期待ができるようなカタリストが近い銘柄は、監視のレベルを上げていくようです。
また、要調査というフォルダを設け、1~3の段階で新たにリストアップした銘柄は、まずこの要調査フォルダに追加されていくようです。ちなみにこれは2021年の情報ですが、井村さんの銘柄リストには600~700の銘柄が格納されているのだとか、、、(すさまじい数ですね)
6.開示資料の読み込み
ここからは、フォルダにある銘柄の深堀になっていきます。
では、どのような開示資料に目を通していくにでしょうか?
- 決算短信
- 説明資料
- 中期経営計画
- 有価証券報告書(有報)
7.アナリストレポートの閲覧
アナリストレポートは、業績予想やレーティング、ビジネスモデル、競合他社、バリュエーション、市場環境、株主還元の方針などの情報を拾うために、可能な限り取得できるものは取得して読み込む方針なのだとか。
- ホリスティック企業レポート
- シェアードリサーチ
- ブリッジレポート
- みんなの運用会議
- フィスコ
- 各種証券会社のアナリストレポート(三菱モルガンスタンレー証券やSMBC日興証券など)
ここで新たに入手した情報は、4つ目で紹介した『銘柄メモ』にスクリーンショットとして貼り付け、特記事項を追記するスタンスらしいです。
8.将来性の検討
そして、ここまでに得た情報を整理した上で、将来性の検討をしていくことになります。
具体的には、定性面でのより詳細な検討をしていくイメージですね。
- 他社が参入しにくいビジネスモデルか?
- 拡大余地のある市場規模か?
- 経営陣は信頼できるか?
- ESGを踏まえた社会に必要とされるビジネスか?
- 株主還元を重視しているか?→株価を上げようとしているか?
- 継続的な成長は可能か?
9.競合比較
8つ目の将来性検討とともに、競合比較も行います。
- ファンダメンタルズ
- バリュエーション
- 商品サービスの特徴
などなど、定量面、定性面ともに比較しながら、投資対象としてふさわしい企業なのか吟味していくわけです。
ちなみに、この段階で、調べれば調べるほど競合他社の方が魅力的であり、投資銘柄を切り替えるというケースもあるのだとか!
10.IRヒアリング
9番目の競合比較までの段階で、調べても分からないことに関してIRへヒアリングするようです。
相手先企業の担当者の時間を使う行為ですので、問い合わせにおける心得も持ち合わせているとのこと。
- 質問事項をあらかじめ作成しておく
- 本名を名乗る
- 担当者の部署と名前をうかがう
- 丁重に伺う
一見当たり前のように感じますが、こういった細かい気づかいと心がけの結果、資金を増やしているのだなぁ~とつくづく感じますね。
また、個人投資家や機関投資家からの問い合わせが増えているかどうかを確認できると尚◎とのこと。
11.バリュエーションの検討
ここまででかなり絞り込まれてきていると思いますが、続いてはバリュエーションの検討に入ります。
バリュエーションは簡単に言えば、企業価値の評価になります。
具体的には、
以下を競合比較してみていきます。
- ネットデット(Net Debt)(純有利子負債)
- ネットキャッシュ
- 減価償却/のれん
- EV÷EBITDA
- PER
- 配当利回り
- 成長率/利益率
12.銘柄分析シートの作成
ここまでの情報とともに、以下の情報も揃えながら銘柄分析シートを作成していきます。
- 独自業績予想(原価/粗利、原価明細、販管費の内訳、セグメント利益、前受け金、棚卸資産、減価償却/のれんなど有報から)
- KPI(受注/受注残、店舗数/ユーザー数/ARPU(1ユーザーあたりの平均収益)
これらを3年分ほどさかのぼります。
13.各種情報収集
そして、マーケットがまだ気づいていない情報にリーチするため、あらゆる情報の収集が始まります。
- サービスページや導入事例など企業のホームページ
- Twitterやウェブ検索で企業に関する情報も取得
- 社長・社員・サービスのSNSアカウントもフォロー
- ブログ
- 口コミ
- 求人サイト
- サービス資料
- PV数
- 入札情報
14.現場を徹底リサーチ
この現場を徹底リサーチもアルファ探しには非常に重要だと言います。
例えば、
実際にその企業が提供している商品やサービスを自分自身で体験してみる。
他にも専門誌や業界メディアを読み、業界人や専門家をフォローしたり、可能であれば直接ヒアリングしてみる。
15.カタリストと需給の把握
14番目の現場を徹底リサーチの段階で、各銘柄に対し投資をするか否か?の決定はほぼほぼ決まるようです。
ですが、アルファを見つけ出す方程式における3つ目の『モメンタム』を忘れてはいけません。
つまり、購入することを決めた銘柄であっても、いつ購入するか?というタイミングが非常に重要になるわけです。
そこで大事になるのが『カタリストと需給の把握』になります。
今はまだ発生していないけど、近い将来カタリストが発生する可能性がある要因を見ていきます。
- 好決算
- 中期経営計画
- 株主還元
- ニュースフロー
などなど
『需給』を把握するためには、
- 信用残高
- 空売り残高
- 機関投資家などの大量保有報告
- 大株主
- 新株予約権
- 出来高
などを取得し、カタリストの出現とともにウォッチします。
また、カタリストと需給を把握すると同時に、モメンタムが入りやすい銘柄かどうか?も検討します。
モメンタムに関しては、投資家に人気のテーマが内包されている銘柄か?(→モメンタムは入りやすいが株価のボラティリティも高くなる)
個人投資家や機関投資家など、どこの層のモメンタムがはいりそうか?
16.投資
これらの長いステップを経て、
2~3年で株価が2倍以上に上がると思える銘柄に投資をする。
ここをもう少し踏み込んで考えると
2~3年後の未来になったと考えたときに、今の時価総額が半額に見えるほどバリュエーション的に妙味があるか?という視点でも見ているようです。
井村俊哉さんの著書とおすすめの本を紹介!
まずは、井村さん自身が書かれた書籍を紹介したいと思います。
株式投資・分析の本!というわけではありませんが、
『年収3万円のお笑い芸人でも1億円つくれたお金の増やし方5.0』という書籍になります。
年収3万円のお笑い芸人でも1億円つくれたお金の増やし方5.0
まぁこちらの書籍は簡単に言うと節約の本ですね。
続いては、
井村さんが書いた本というよりも、
井村さんの投資手法について取材されたパートがある書籍ということになります。
この記事を書くにあたって非常に参考にさせて頂いた書籍になります。
また、
井村さんの投資哲学を形作り、
銘柄選定の技術に関しても以下の3冊で語れると言われています。
それが、、、以下になります。
新賢明なる投資家 上~割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法~《改訂版――現代に合わせた注解付き》 (ウィザードブックシリーズ)
ピーター・リンチの株で勝つ[新版]―――アマの知恵でプロを出し抜け
井村俊哉さんの銘柄選定&投資手法についてのまとめ
さて、ここまで井村さんのアルファを探す方法を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
井村さん自身が、機関投資家も含め誰も真似できないレベルで分析に時間を費やしているというように、
ここまで銘柄選定&分析の方法を詳細に公開してくれているのは、ある意味「俺と同じ熱量で株式投資&分析できないだろ?出来るもんならやってみろ!」という挑戦状にも思いますよね。
井村さんは天才だ!日本のバフェットだ!という人もいますが、井村さんしかり、バフェットしかり、凡人では到達できないレベルで日々勉強しているわけです。
実際問題、睡眠時間は確保しているようですが、命を削っているでしょうし、家族との時間など他にも犠牲にしているものは多いでしょうから、
55億円という巨大な資産を築けたのも納得と言えば納得です。
ということで、私自身も含め、どれだけ井村さんに近づけるのか?はたまた永遠に離されてしまうのか?未来はまだ分かりませんが、
井村俊哉さんに勝るとも劣らない株式投資・分析で資産を増やしていきましょう!
株式投資への投資元本がない!!という場合は、
レバレッジが効くFXトレードの方が圧倒的に有利!というか資金効率が良いです!
1万円の資金で、理論的には最大1000万円を持っているかのようにトレードできるFX口座を紹介して終わりたいと思います。